「アルコール酒を摂取すると寝つきが良くなる」という意見がある一方で、「アルコール酒を飲むと眠りが浅い状態が続く」という見解もあります。
ここでは、アルコールと眠りの関係を調べてみましょう。
アルコールは体温を低下させて眠りを誘う
アルコールを摂取すると、短時間で体温が大幅に低下するという効果があります。
人体は体温が下がると、眠りを誘うホルモンである「メラトニン」の分泌が活発になります。
ですから、「お酒を飲むと眠りたくなる」というのは人体の自然な反応である、ということができるわけです。
また、お酒には神経をリラックスさせて気分を落ち着かせる効果もあります。
ですから、「強いストレスを感じていて眠気がまったく来ない」という時にアルコールを少量摂取するのは、対処法として間違っている訳ではありません。
摂取後3時間は深い睡眠を取ることができない
ただし、アルコールは体内に摂取されてから、分解および吸収されるまでに約3時間かかります。
この間、体内では「アセトアルデヒド」というホルモンが分泌されます。
この物質には深い眠りを妨げる作用があるため、飲酒をしてからすぐに眠ると睡眠が浅い状態になってしまうわけです。
また、アセトアルデヒドには交感神経に対し、刺激を与えてしまうというマイナスの働きもあります。
そうなると、眠ってはいるものの神経は過敏な状態になっているので、周囲で起きる少しの刺激や音で容易に目が覚めてしまうのです。
お酒と睡眠導入剤を合わせて摂取するのは、呼吸困難を引き起こす可能性があるので避けましょう。
また、アルコールに対する耐性ができてくると、睡眠導入の効果を得るためより多くのお酒を飲むようになってしまう、というリスクも存在することを銘記しておきましょう。
利尿作用も浅い眠りになる原因の一つ
アルコールには利尿作用もあります。
ですから、眠る前にアルコールを摂取すると、夜中にトイレへ行きたくなって目が覚めてしまう、というケースが非常に多いのです。
こうしたリスクを考えると、心地よい睡眠を手に入れたいのであれば、眠る直前にアルコールを摂取するのは避けるのが賢明でしょう。
少なくともベッドに入る3時間前には飲酒をやめる、というのは賢明な方法です。
加えて、はちみつや果物など、アルコールの分解をサポートしてくれる食事を少量摂取するのも効果的でしょう。
そうすることで、夜中に何度も起きてしまうという事態を避けることができるはずです。